【タオ島とレンタルバイクと奴隷船】2013僕達の3500km2人旅【#4】
初めての海外1人旅を終え、日本に帰国した僕は某公共放送の下請けの映像会社で働いていた。そこで当時の彼女、今の妻と出会い意気投合した2人は仕事を辞めて東南アジアの旅へと飛び出した。シンガポールに友人の多い彼女(今の妻)の希望でゴールをシンガポールに設定し、どうせなら縦断しようとミャンマーのタチレクからシンガポールまでタイ、マレー半島を縦断して、シンガポールに行く事にした。ただ、移動し続ける。そうゆうタイプの旅だ。2013年の2人旅の記憶。
※この記事は2013年のタイ・ミャンマー・マレーシア・シンガポールの旅を元に2019年に新たに書き起こしたものです。
#タオ島でのバカンスとレンタルバイク
ミャンマーから僕らは大きく南下して、タイの離島タオ島でバカンスをする事にしていた。今までの人生で南の島に惹かれた事は一度もなかったけど、南の島はそんな僕らをとてもポジティブに迎え入れてくれた。
タオ島ではレンタルバイクが僕らの足になった。控えめに言っても僕らは南国のバカンスが似合うタイプでは無い。小柄だし、マッチョでも無いし、こんがり日焼けしている訳でも無い。どうしたって海はいつも居心地の悪さを感じてしまう。それでも庭のニワトリの鳴き声で朝起きて、ボサノヴァをいい音で聴きながら外でブレックファーストを食べ、海に潜って、バイクで島を探検して、お昼はボブマーレーを聴きながらコーヒータイムを過ごし、食後にまた海に潜って大量のカラフルな魚と戯れて、夕方はカーペンターズを聴きながらビールを飲んでサンセットを過ごし、夜は宿のベランダで昨日よりちょっと満月に近づいたななんて事を思って過ごしていると、南の島の虜になら無い方が難しかった。タオ島でも暮らすように過ごし、このままずっとここに居てもいいななんて思ってしまった。
タオ島に向かうフェリーで会った日本人は、ダイビングが好きなお兄さんだった。短い仕事の休みを使って弾丸でタオ島に来ているらしい。タオ島は本当に魚が多いらしくダイバーにとっても虜になる島だと教えてくれた。お兄さんも休みを見つけては何度もタオ島に来ているとの事。晩御飯でも食べましょうと言って別れたけど、その後島で会う事は無かった。きっとずっと海に居たのかな。
#タオ島から奴隷船に乗せられマレーシアを目指す
タオ島に後ろ髪を惹かれつつも、僕らは次の目的地マレーシアを目指す事にした。タオ島から本島に向かう夜行船は、事前情報では奴隷船のようなクレージーな船だと聞いていた。そして、タオ島に来てからずっと快晴だったのに出発の日、海は荒れ出していた。
船の中はツーリストと地元の人ですし詰め状態で、それぞれに与えられたスペースは1人分の寝床だけだった。なるほど、これは奴隷船と言われてもびっくりはしないな。けど、決して不愉快なほどでは無かった。こんな環境で彼女はちょっと辛いかな?なんて心配していたけど、なんの問題もなく、乗船するなりすぐ僕よりも熟睡していた。
次はマレーシアか。そんな事を思いながら、すし詰めの船でゆっくり眠りに落ちた。